macのOS更新でクリーンインストールの方法と違いが分からず、画面の前で指が止まっていませんか。
この記事では長年Macを開発用に使ってきた経験から、データを守りながらクリーンインストールを進める二つのルートと、再設定を最小限に抑える裏ワザを図解で紹介します。初歩的なクリック操作からターミナル入力まで手順を飛ばさずに示すので、途中で迷う心配はありません。
準備中のバックアップディスクを脇に置きつつ、次章の手順紹介ブロックを読み進めてください。安心感を得たあとに作業へ移れば、Macは驚くほど軽やかに生まれ変わります。
実体験に基づくクリーンインストール方法をやさしく解説

パソコンの調子がなんだか重たい…という日にはクリーンインストールが救世主になります。経験豊富なエンジニアの視点で、インターネットリカバリやUSB起動、Apple Configuratorを使った方法まで、やさしくまとめました。
- インターネットリカバリ:macOSをAppleサーバーから直接起動して再インストール
- USB起動ディスク:あらかじめ作成したインストーラー付きUSBから立ち上げる
- Apple Configurator:別のMacを使って復元イメージを送り込む(T2チップ搭載Mac向け)
どの方法も準備は同じく、バックアップと電源確保が肝心です。特に長時間かかるときはACアダプターをつなぎ、ネットワークは有線接続にすると失敗を減らせます。
インターネット復旧を使うやり方

インターネット復旧は、Mac本体に備わった機能を使ってAppleサーバーから直接起動イメージを読み込み、macOSを再インストールする方法です。
USBメモリを用意せずに最新の対応バージョンを自動で取得できるため、手軽にクリーンインストールしたいときや、外付けメディアが手元にないときにぴったりの手段です。
①電源を入れたら⌘+Rを長押しする

Macの電源ボタンを押したら、すぐに⌘+Rキーを同時に押し続けてください。Appleロゴや地球儀アイコンが表示されるまで押し続けると、macOSリカバリーモードが起動します。
②ディスクユーティリティでMacintoshHDを消去する

電源を入れたらすぐに電源ボタンを長押しし「オプション」が表示されたら選択してください。macOS復旧が立ち上がったら「ディスクユーティリティ」をクリックしてください。
左側リストにある「MacintoshHD(ボリューム)」を選択し、ウィンドウ上部の「消去」を押してください。
フォーマットはAPFS、パーティションマップは「GUID」に設定します。名前はそのままでも大丈夫です。「消去」をクリックすると完全に初期化されます。
消去後は元に戻せないためバックアップ済みか必ず確認してください。
③macOSを再インストールを選ぶ

macOSユーティリティから「macOSを再インストール」を選ぶと、現在のデータを残しつつシステムファイルだけを書き換えられます。ネット経由で最新のOSを取得するので、安定したWi-Fiに接続してください。
macOSユーティリティの一覧から「macOSを再インストール」を選んでクリックします。
はじめにWi-Fi選択画面が出るので、自宅や職場のネットワークを選んでパスワードを入力してください。
同意書の画面で同意をクリックすると、インストール先ディスクの選択に移ります。
内蔵ディスクを選んだら「インストール」を押して、完了までじっくり待ちましょう。
インストール中は電源が切れないようにACアダプタをつないでおいてください。
④AppleIDでサインインしてインストールを始める

インストール画面にAppleIDの入力欄が表示されたら、AppleIDとパスワードを入力してください。二段階認証を設定している場合は他のデバイスに届いた確認コードを入力するとインストールが開始します。
⑤初期設定アシスタントで言語とWiFiを選ぶ
起動すると最初に表示される画面で、日本語やEnglishなど使いたい言語をクリックします。選んだ言語はあとでシステム環境設定からも変えられますが、このタイミングで直感的に選んでかまいません。
次にWiFiのネットワーク一覧が表示されます。自宅や会社のSSIDを見つけたら選択して、パスワードを正確に入力します。パスワードは大文字小文字を区別するので、入力ミスに注意してください。
もしネットワークが見つからない場合は、画面左下の「その他のネットワークを表示」をクリックします。それでもつながらないときは、一度ルーターの電源を入れ直すか、有線LANアダプタでつないでおくとスムーズです。
言語とWiFi設定が終わるとインターネットに接続した状態で次の設定に進めます。安定したネットワークがあるとアップデートやサインインが速くなるので、接続状況を確認してください。
USBインストーラを作って行うやり方

USBインストーラを作って行う方法は、あらかじめmacOSインストーラをUSBメモリに書き込んでおくので、起動ディスクを丸ごと入れ替える感覚でクリーンインストールできます。
ネットワーク状況に左右されずに繰り返し利用できるため、インターネットリカバリが遅いときや複数台のMacに同じ環境をまとめて導入したいときにも手早く安定して作業を進められます。
①AppStoreからmacOSインストーラをダウンロードする

画面左上のAppleメニューからAppStoreを開きます。ログイン済みのAppleIDがあることを確認してください。
検索欄に「macOSVentura」または「macOSMonterey」と入力して最新バージョンを見つけましょう。
「入手」ボタンをクリックするとインストーラのダウンロードが始まります。完了するとアプリケーションフォルダに「macOSインストーラ」が保存されます。
ダウンロードには高速なネットワーク環境があると安心です。
②ターミナルでcreateinstallmediaコマンドを実行する
コマンド実行後に管理者パスワードを求められます。入力しても画面に表示されませんがそのままEnterキーを押してください。
③Optionキーを押しながら再起動してUSBを選ぶ

USBメモリからmacOSインストーラを起動するには、再起動時にOptionキーを押して起動ディスク選択画面を呼び出します。緊張せずに、ゆっくり手順を進めましょう。
電源ボタンを押してすぐにOptionキーを押し続けます。シャットダウンから再起動する場合は、一度電源を落としてから改めて同じ操作をお願いします。
画面に現れた起動ディスク一覧から、USBメモリのアイコンをカーソルで選んでReturnキーを押します。マウスやトラックパッドでクリックしてもかまいません。
Optionキーを押すタイミングが早すぎるとキーボード入力モードにならない場合があります。電源ボタンを押した直後から押し続けるのがコツです。
④ディスクユーティリティでHDを消去する
消去すると中のデータは完全に消えます。大事な書類や写真が入っている場合は必ず事前にTime Machineなどでバックアップしましょう。
⑤インストールウィザードに沿って進める
再起動後は画面が暗く長めに待つことがありますが焦らず待機してください。
TimeMachineでバックアップを取るやり方

TimeMachineはMacに標準で備わるバックアップ機能で、外付けドライブをつなぐだけで定期的にデータを保存できます。慣れていなくても簡単に操作できるので、クリーンインストール前の最後の砦として活躍します。
- 自動で定期バックアップ:指定した外付けドライブにMac全体を自動保存
- 丸ごと復元可能:macOSもアプリ設定もまとめて元に戻せる
- ファイル単位の復旧:過去のバージョンから個別にほしいファイルだけ取り出せる
システム全体をまるごと保存できるため、macOS(例えばSonoma)の更新やクリーンインストールを行う前には必ずTimeMachineでバックアップをとっておくと安心です。あとから必要なファイルだけ復元できるのも嬉しいポイントです。
①外付けディスクを接続してTimeMachineを開く
②「バックアップディスクを選択」をクリックする

Time Machineのウィンドウで「バックアップディスクを選択」ボタンをクリックしてください。接続済みの外付けドライブやネットワークドライブが一覧表示されます。
ディスクが見当たらないときはFinderでマウント状況を確認してから再度操作してください。
③「今すぐバックアップ」を押して完了を待つ
ディスクの空き容量が不足していると失敗することがあるので、あらかじめ十分なスペースを確保してください。
クリーンインストール後にMacをもっと快適にする応用ワザ

応用ワザ | こんなときに役立つ |
---|---|
Homebrewでパッケージ管理 | 開発ツールや便利コマンドをまとめて入れたいとき |
Rectangleでウインドウ整理 | 複数アプリを効率よく並べたいとき |
Little Snitchで通信監視 | バックグラウンド通信を可視化しセキュリティを高めたいとき |
TRIM有効化(SSDのみ) | コピー・ペーストを繰り返しても速度低下を防ぎたいとき |
iTerm2+Oh My Zsh設定 | ターミナル操作をお気に入りの見た目と機能で使いたいとき |
クリーンインストール直後はシステムがスッキリしていますから、ここから好きなツールや設定を追加していくと快適度がグンとアップします。
移行アシスタントで必要なデータだけ取り戻す

クリーンインストール後に必要最低限の書類や写真、アプリ設定だけを戻したいなら、移行アシスタントが力強い味方になります。Appleアカウントや外付けドライブを選ぶだけで、不要なゴミファイルや古いログを省きながら、ホームフォルダだけサクッと復元できます。
「全体を丸ごと引っ越すのは面倒」「アプリだけ設定を維持したい」そんな場面なら、アプリやデータのカテゴリごとにチェックを入れたり外したりできるので、時間と手間を大幅に節約できます。
移行アシスタントを起動して転送元をTimeMachineに指定
まずFinderを開きアプリケーション>ユーティリティフォルダを開いて移行アシスタントをダブルクリックして起動します。
起動したら管理者パスワードを入力して鍵アイコンを解除し「別のMac、TimeMachineバックアップ、起動ディスクから」を選択して続けるをクリックします。
表示されたTimeMachineのバックアップディスクを選んで「続ける」を押し転送元がTimeMachineになっていることを確認します。
復元したいユーザーデータだけにチェックを付けて転送
Migration Assistantのソース一覧で、小さな三角アイコンをクリックすると項目の詳細が開きます。
- ユーザー名の横にあるチェックボックスだけオンにします。
- アプリやシステム設定はすべてオフにして、不要なものを転送しないようにします。
画面右下の「続ける」をクリックすると、チェックしたデータだけ移動が始まります。
選択を間違えるとあとで元に戻せないことがあるので、本当に不要な項目かどうかをよく確認してください。
ターミナルで開発環境を一気に整える

ターミナルひとつでHomebrewやGit、Node.js、Python、Dockerなどの開発に欠かせないツールをまとめてインストールできます。アプリをひとつずつダウンロードする手間がなく、クリーンインストール直後でもサクッと環境が整うのが心強いポイントです。
自前のスクリプトやdotfilesを用意すれば、設定ファイルや拡張機能まで一気に適用できるので、どのMacでも同じ開発環境を再現できる安心感があります。プログラマーならではの裏ワザとしてぜひ試してみてください。
Homebrewをインストールしてbrewdoctorで確認

ターミナルを開いて以下のコマンドを入力しエンターキーを押してください。/bin/bash -c "$(curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/Homebrew/install/HEAD/install.sh)"
を実行すると必要なファイルが自動でダウンロードされます。
インストール完了後にbrew doctor
と入力してください。問題がなければYour system is ready to brew.というメッセージが表示されます。
brew doctorで警告が出た場合は指示に従ってパスの追加や古いリンクの削除を行ってください。
brewfileを使って愛用ツールをまとめて導入
Homebrewにはインストールしたパッケージをまとめて記録できるBrewfile機能があります。必要なツールをひとつのファイルにまとめておくと、新しいMacでも一瞬で同じ環境を再現できます。
ターミナルを開きホームディレクトリに移動して、現在のHomebrew環境を書き出します。
brew bundle dump --file=~/Brewfile
テキストエディタでBrewfileを開き、不要なパッケージを削除したり、新しいtapやcaskを追記します。
Brewfileを置いたフォルダでbundle installを実行すると、登録済みのツールがまとめて入ります。
brew bundle install --file=~/Brewfile
家族用に子どもアカウントを安全設定

リフレッシュしたMacを家族みんなで使うときは、子ども専用アカウントを用意すると安心です。画面を見る時間帯や利用できるアプリをしっかり制限できるので、宿題タイムだけゲームを許可したり、おやすみ前は画面が自動でオフになるようにしたりできます。アプリの購入や大人向けコンテンツへのアクセスも保護者の承認が必要になるため、思わぬ課金や不適切サイトへの誘導を防げます。
システム設定で新規ユーザーを追加する
画面左上のアップルメニューから「システム設定」をクリックして開きます。
左サイドバーの「ユーザとグループ」をクリックして詳細画面を表示します。
画面下部の「+」ボタンをクリックし、アカウントの種類(標準/管理者など)を選んでから名前やパスワードを入力します。
入力内容を確認したら「ユーザーを作成」をクリックして追加を完了させます。
管理者権限を付与するときは、誰にどこまで権限を渡すかをよく考えてください。
スクリーンタイムで使用制限を細かく調整
画面左上のAppleメニューからシステム設定を選び、サイドバーにあるスクリーンタイムをクリックします。見つからないときはウインドウ上部の検索欄で「スクリーンタイム」と入力するとすぐにアクセスできます。
よくある質問

クリーンインストールとアップグレードはどちらを選べばいいですか?
- クリーンインストールとアップグレードはどちらを選べばいいですか?
システムがもたつくことなく快適に使いたいならクリーンインストールをおすすめします。不要なファイルや古い設定をリセットできるため動作がスッキリします。一方、現状のデータやアプリをそのまま残したい場合はアップグレードが手軽です。
クリーンインストール前に必ず行うバックアップ方法は?
- クリーンインストール前に必ず行うバックアップ方法は?
Time Machineでの丸ごとバックアップに加えて、ホームフォルダの重要ファイルを手動で外付けSSDにコピーするのがおすすめです。プログラマー向けにはbrew bundle dumpでインストール済みパッケージのリストも保存しておくと復元が楽になります。
クリーンインストールに要する時間はどれくらいですか?
- クリーンインストールに要する時間はどれくらいですか?
ネットワーク環境やSSDの速度にもよりますが、macOSのダウンロードからインストール完了まで約30分から1時間を見ておくと安心です。過去の経験では有線LAN+外付けSSDでおよそ25分で済んだこともあります。
インストール後にアプリを効率よく復元するコツは?
- インストール後にアプリを効率よく復元するコツは?
開発環境ならbrew bundleを使ってBrewfile一発でパッケージを再インストールできます。App Storeアプリは購入済みリストからまとめてダウンロードできますし、DropboxやiCloudで同期している設定ファイルを戻せば元どおりの環境に近づきます。
バックアップなしでクリーンインストールしても大丈夫?
クリーンインストールをするとMac内部のデータがまるごと消えます。バックアップなしで進めると写真や書類、アプリの設定などを元に戻せないので注意が必要です。
もし大事なデータがまったくないなら問題ありませんが、あとで「あのファイルも消えた」と後悔するケースが意外に多いです。
大切なファイルはTime MachineやiCloud、外付けドライブにバックアップを取っておくと安心です。初めての方ほど、必ずバックアップを済ませてからクリーンインストールを行いましょう。
インターネット復旧が途中で止まったらどうする?
インターネット復旧が途中で止まると「せっかく始めたのに…」とガックリしますよね。原因はWi-Fiの電波が弱い、ルーターの混雑、Appleのサーバーに負荷がかかっているなどいろいろ考えられます。
ここでは、実際に試してみてスムーズに再開できた方法をざっくり紹介します。手順を知らないと何度も失敗して時間を無駄にしがちですが、コツを押さえればサクッと乗り切れます。
たとえば有線LANに切り替えて安定した回線を確保する、別のWi-Fiネットワークを試す、NVRAMリセットで設定をリフレッシュするなどです。次のステップでは、それぞれのメリットや実際の手順を丁寧に解説していきます。
USBインストーラ用の容量はどれくらい必要?
USBメモリを準備するときに迷うのが容量の目安です。最新のmacOSインストーラはダウンロードするとだいたい12GB前後のサイズになります。
最低限でも12GB以上が必要ですが、余裕をもって作業するなら16GB以上のUSBメモリを用意すると安心です。
項目 | 容量目安 |
---|---|
最小限の容量 | 12GB |
余裕をもたせる容量 | 16GB |
クリーンインストール後にライセンスキーは再入力が必要?
- クリーンインストール後にライセンスキーは再入力が必要?
-
App Storeから入れたアプリはApple IDでライセンスを管理しているので再入力しなくても再インストールできます。Microsoft OfficeやAdobe Creative Cloudなどのサブスクリプション型はサインインするだけでライセンスが復活します。
一方でスタンドアロン版のソフトはシリアルキーが必要になります。インストール前に1Passwordなどのパスワード管理ツールにまとめておくと、クリーンインストール後も迷わずペーストできて安心です。
アップグレードと比べて時間はどのくらいかかる?
アップグレードは既存のデータや設定を残したまま新しいシステムを上書きするので、メインのインストール自体は約20分から30分くらいで終わることが多いです。
一方でクリーンインストールはハードドライブの消去から再設定まで行うので、インストール作業だけで30分から1時間ほどかかります。ダウンロード速度や端末のスペックによって前後しますが、新品同様に復活するぶん手間がかかります。
さらにバックアップの書き出しや復元作業も含めると、クリーンインストールは全体で1時間半から2時間を目安にしておくと安心です。
まとめ

まずは大切なデータをTimeMachineや外付けドライブにバックアップしてから、macOSインストール用USBを用意し、ディスクをまっさらにしてクリーンインストールを進めます。
インストールが完了したら、バックアップデータや必要なアプリをそろえて設定し直すだけで、不要ファイルが一切ない快適環境が手に入ります。
この手順を守れば、サクサク動く新生Macの気持ちよさにわくわくしながら、また楽しく使いこなせるはずです。