iCloudのバックアップが見当たらず、復元方法が分からずに電池残量より心細くなった深夜の作業机。
こんなときでも、失われた設定や写真を安全に取り戻せる具体的な手順があります。実際の現場で試行錯誤を重ねて確立された手順なので、途中で通信が切れてもデータを壊さずに再開でき、作業時間も最短に抑えられます。さらに必要なファイルだけを選んで戻せるため、無駄な容量を取らない利点もあります。
手元のMacを開き、これから示す順番どおりに進めるだけで、数分後には見慣れたデスクトップが戻ってきます。肩の力を抜き、ゆっくりと一歩ずつ確認しながら作業を始められます。
ぼくの実体験どおりに!iCloudバックアップを取り戻そう

大事なデータをうっかり消してしまうと、心臓がバクバクしますよね。でも安心してください。iCloudには消したファイルや写真を取り戻す魔法のような方法が用意されています。そして状況に合わせて3つの手段があるんです。
- iCloud.comから削除ファイルを復元:ブラウザ上で30日以内に削除した書類やデータを元に戻します。
- iPhone・iPadを初期化してiCloudバックアップから復元:端末をリセットして、最後に残したバックアップを丸ごと復活させます。
- 写真アプリの「最近削除した項目」から取り戻す:誤って消した写真を30日以内に元のアルバムへ戻せます。
システム設定からiCloudバックアップを呼び戻す

Macのシステム設定(旧システム環境設定)からiCloudバックアップを呼び戻す方法は、iPhoneやiPadの本体操作が難しい場合に頼れる一手です。
具体的にはmacOS Ventura以降のシステム設定でApple ID→iCloud→バックアップを開くだけで、iCloudに保存してある最新のバックアップ一覧を確認・選択できます。大きな画面とキーボードでざっくり中身を眺めながら復元先のバックアップを選べるので、初めての復元でも安心感が高いのが魅力です。
①アップルメニューから「システム設定」を開く

画面左上のアップルマークをクリックします。メニューが表示されたら「システム設定」を選んでください。
macOS Ventura以降は「システム環境設定」の名称が「システム設定」に変わっています。初めて見ると戸惑うかもしれませんが、この名前で探すと迷いません。
②サイドバーで「Apple ID」をクリック

システム設定を開くと、左側にApple IDのアイコンと自分の名前が表示されます。そこをクリックするとApple IDの設定画面に切り替わります。
③「iCloud」を選び「iCloudバックアップ」をオンにする

「設定」アプリを開いて画面上部の自分の名前をタップします。表示されたメニューから「iCloud」を選び、下にスクロールして「iCloudバックアップ」を探します。スイッチをタップして緑色になったらオンです。このとき、Wi-Fiに接続し電源に繋いでおくと自動で最新状態が保存されます。
④「すべてを復元」を押して完了まで待つ

「すべてを復元」を押すと復元処理がスタートします。画面に進行バーが表示されるので、そのまま完了メッセージが出るまでお待ちください。ファイルの数やサイズに応じて時間が変わりますが、復元中は他の操作を控えると安定して処理が進みます。
復元に失敗した場合は、一度ページを再読み込みしてから再試行してみてください。
初期設定ウィザードでiCloudバックアップから丸ごと復元する

初期設定ウィザードでは、電源オンから Apple IDでサインインし「iCloudバックアップから復元」を選ぶだけで、写真やアプリの配置、各種設定まですべて元どおりに戻ります。
慣れない操作は不要なので、新しい端末を手に入れたときや一度リセットしたあとに、かんたんに慣れ親しんだ環境を再現したい人にぴったりです。高速なWi-Fiにつないで、バッテリー残量に余裕をもって進めましょう。
①電源を入れたら言語を選び「続ける」をクリック
デバイスの電源を長押しして起動したら、表示されたリストから日本語など使いたい言語をタップしてください。言語が決まったら右下の「続ける」を押すと次へ進められます。
②「移行アシスタント」で「iCloudバックアップから復元」を選ぶ
Finderの「アプリケーション」内「ユーティリティ」フォルダから移行アシスタントを開きます。
オプション画面で「別のMac、Time Machineバックアップ、または起動ディスクから」を選び、さらに「iCloudバックアップから復元」をクリックします。
指示に従ってApple IDとパスワードを入力し、復元したいバックアップをリストから選びます。
出先で電源が切れないように、必ずMacを電源につないだまま操作してください。
③Apple IDでサインインして復元したいバックアップを選択
サインイン画面が出たらお使いのAppleID(メールアドレスとパスワード)を入力して先へ進んでください。
サインインが終わると利用できるバックアップの一覧が表示されます。
- 日付と端末名の確認:復元したい時点のものを選ぶ
- バックアップサイズ:Wi-Fiで快適に取得できるかチェック
- 電源残量:途中で切れないよう十分に充電した状態で
復元したいバックアップをタップするとプロセスが始まります。完了まで安定したWi-Fiと電源接続を保ってください。
④ダウンロード完了まで電源とWi-Fiを切らずに待つ
データのダウンロードが完了するまでは、スマホの電源もWi-Fiもそのままにしておきましょう。途中で切れると復元作業が中断して、何度もやり直すことになります。
バッテリー残量が心配なときは、充電器につないだままにするのがおすすめです。また、Wi-Fiの電波が弱いときはルーターに近づくと安定してダウンロードできます。
進行状況は画面に表示されるプログレスバーで確認できます。時間がかかっても焦らず、ゆったり待つことでスムーズに復元が進みます。
ブラウザでiCloud.comから写真や書類を手動で戻す

パソコンのブラウザでicloud.comにサインインすれば、iPhoneやiPadをいきなり初期化せずに写真や書類だけをピンポイントで戻せます。
- 端末の設定を変えずに復元:必要なファイルだけ選べるから手間がグッと減ります。
- 30日以内なら確実に戻せる:写真も書類も「最近削除した項目」に入っている限り安心です。
- WindowsやLinuxでも対応:ブラウザさえあればOKなので、どのパソコンからでも作業できます。
①SafariでiCloud.comへアクセスしApple IDでサインイン
②「写真」や「iCloud Drive」を開き「最近削除した項目」を選ぶ
③復元したいデータにチェックを入れ「復元」をクリック
一覧に表示されたファイルや写真の左側にあるチェックボックスをクリックして、復元したい項目を選びます。複数まとめて戻したいときはそれぞれにチェックを入れてください。
選択が終わったら、画面右上または下部にある復元ボタンを押します。数秒待つと元の場所へデータが戻ります。
④Finderで保存場所を確認して完了
復元が終わったら広がる応用ワザでMacをもっと快適に

復元が無事終わったら、ちょっと物足りないかも。だけどここからが面白いところ。いくつかの応用ワザでMacの安全性と便利さをぐっとアップさせましょう。
応用ワザ | どう役立つ? |
---|---|
Time Machine連携 | 定期バックアップを自動化してデータ消失の心配をぐっと減らせる |
差分バックアップ管理ツール活用 | フルバックアップの容量を節約しつつ、複数世代のファイル履歴を保てる |
スナップショットからの個別ファイル復元 | 過去の特定ファイルだけをさくっと取り出して共有や編集に使える |
ユニバーサルクリップボードでコピー&ペーストをデバイス間で共有

ユニバーサルクリップボードはMacとiPhoneやiPadでコピーしたテキストや画像をそのまま別のデバイスに貼り付けできる機能です。同じApple IDでサインインし、Wi-FiとBluetoothをオンにすればすぐに使えてケーブルも不要です。
例えばMacで選択した文章をCommand+Cでコピーすると、数秒以内にiPhoneのメモアプリでロングタップ→ペーストが可能になります。画像やスクリーンショットも同様に共有できるので資料作成がスムーズになります。
プログラマーならではのコツとして、コードをコピーしたあとにペースト先で余計な空白が入らないか必ずプレビューすると安心です。また、うまく動かないときはシステム環境設定や設定アプリでHandoffを再起動してみると復活しやすいです。
Handoffをオンにしてコピーしたら別デバイスでそのままペースト
MacとiPhoneが同じApple IDでサインインしていると、コピーした内容をスムーズに共有できます。Wi-FiとBluetoothがオンになっているかも確認しましょう。
Macは「システム設定」→「一般」→「AirDropとHandoff」でHandoffを有効にします。iPhoneは「設定」→「一般」→「AirPlayとHandoff」からHandoffをオンにしてください。
MacでもiPhoneでも、テキストや画像を選択して「コピー」を実行します。通常のコピー操作と同じ感覚で大丈夫です。
別のデバイスで入力欄を長押し(または右クリック)して「ペースト」を選びます。コピー直後に10秒以内なら共有内容が届きます。
両方のデバイスが近距離にあり、同じネットワークとApple IDで接続されている必要があります。
古いiPhoneの写真をMacの外付けSSDへ一気に移すコツ

iPhoneをMacにケーブルでつなぐだけで、内蔵アプリのImage Captureを使い、写真を直接外付けSSDにまとめて取り込む方法が便利です。読み込み先を外付けSSDに設定すれば、Mac本体の容量を気にせず一気に移動できます。
大量の写真を移すときは、取り込み前に「サブフォルダを写真の日付ごとに分ける」にチェックしておくと、あとで探しやすくなります。また、移行後はSSD上のファイルを確認して、不要な重複やサムネイルを手動で整理するとスッキリ使いやすくなります。
写真アプリで「読み込み」を選び外付けSSDを保存先に指定
USBケーブルで外付けSSDをMacに接続します。Finderを開いてサイドバーにSSD名が表示されていることを確かめてください。
Dockやアプリケーションフォルダから写真アプリを開き、画面上部のツールバーにある「読み込み」ボタンを押します。
読み込みダイアログが開いたら左下の「読み込み先」をクリックし、先ほど確認した外付けSSDを選んでから「読み込む」を押してください。
キーチェーン同期でパスワード入力の手間をゼロにする

iCloudキーチェーン同期をオンにすると、MacやiPhoneで保存したログイン情報やパスワードを自動で共有できます。新しいMacへデータを戻すときに、いちいちパスワードを入力せずにスムーズにログインできるので、手間がぐっと減ります。
- 保存したパスワードを再入力しなくていい
- Wi-Fi設定も自動で共有できる
- Webサイトやアプリへのログインが即完了する
システム設定の「パスワード」を開きiCloudキーチェーンをオンにする
iCloudキーチェーンを初めて有効化するときは、登録済みのほかのデバイスが近くにないと承認コードが届かないことがあります。
よくある質問

- iCloud.comの「最近削除した項目」にないデータはどうすればいいですか?
30日以上経過したデータはiCloudから自動で消えてしまうため、直接の復元は難しいです。Time Machineや外付けドライブにバックアップが残っていないか探してみてください。プログラマー視点では、定期的にローカルにファイルをエクスポートしてバージョン管理するのがおすすめです。
- iPhoneを初期化してiCloudバックアップから復元できないときは?
Wi-Fi環境が安定しているか、充電器に接続しているか、最新のiOSにアップデートしているかをまず確認してください。ストレージ容量が不足していると復元に失敗しやすいので、不要なアプリや写真を先に整理するとスムーズです。
- 写真だけをiCloudからすばやく復元するには?
iCloud.comの「写真」>「最近削除した項目」で復元したい写真を選んで復元ボタンを押すだけです。Macの「写真」アプリを使う場合は、同じApple IDでサインインして「環境設定」の「iCloud写真」をオンにすると、自動でダウンロードされます。
復元が途中で止まったまま動かないときは?
iCloud復元中に進みがピタリと止まっても慌てなくて大丈夫です。多くの場合「ネットワークの不安定さ」「バッテリー残量不足」「ストレージ不足」が原因になります。まずはWi-Fiが途切れていないか確認して、回線が安定している場所に移動してみましょう。次に、バッテリー残量が十分かや充電ケーブルの接触をチェックします。最後に、端末の空き容量が足りているかを見直して、不要なアプリや写真を一時的に整理すると復元がスムーズに再開しやすくなります。
Wi-Fiが遅いときに復元時間を短くする方法は?
Wi-Fiが遅く感じるときは、USBイーサネットアダプタでMacを有線LANに接続するといいです。有線なら回線が安定して速度が出やすく、iCloudからのデータダウンロードがぐっと速くなります。
それでもまだ遅い場合は、iPhoneのテザリングで5G回線を使ってみましょう。さらに復元画面で「すべてを復元」ではなく必要な項目だけを選ぶと、転送データ量が減って全体の復元時間をかなり短くできます。
バックアップが見つからないけどどうしたらいい?
- バックアップが見つからないけどどうしたらいい?
-
まずはiCloudのサインイン状態をチェックしましょう。設定アプリを開いてApple IDでちゃんとログインできているか確かめると、バックアップが見つかることがあります。
それでも表示されない場合は、端末を一度再起動してから設定>自分の名前>iCloud>iCloudバックアップを開いて「今すぐバックアップを作成」を試してみてください。新しいバックアップが作られると、復元候補にちゃんと載ってくるはずです。
注意:古いiOSで作成したバックアップは見えにくいことがあります。最新バージョンにアップデートしてから再度確認してみてください。
復元後にアプリが起動しない場合は?
- 復元後にアプリが起動しない場合は?
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AppStoreで該当アプリを再ダウンロードすると、途中で止まっていたインストールが再開されることがあります。Wi-Fi接続が安定しているかも確認しましょう。
設定>一般>iPhoneストレージから起動しないアプリを選び「Appを取り除く」をタップすると、データを残したままアプリだけを再インストールできます。
それでも起動しないときはiOSを最新バージョンにアップデートしてください。古いバージョンだと互換性の問題が起きる場合があります。
最後に端末を再起動したり、設定>Apple IDからiCloudをサインアウトして再度サインインすると認証がリフレッシュされて動くケースもあります。
ストレージが足りなくて復元できないときは?
復元中にストレージ不足のエラーが出るのは端末の空き容量がバックアップをまるごと受け入れられないからです。使っていないアプリをオフロードしたり写真のストレージを最適化したりするとスムーズに進みます。プログラマー目線では一度大きなファイルをMacに避難させてから復元するとトラブルが減るのでおすすめです。
まとめ

今回はiCloudから削除したファイルや写真を元に戻す方法とiPhone/iPadをバックアップからまるごと復元する手順をお伝えしました。
まずはiCloud.comの「最近削除した項目」から30日以内のファイルや写真をサクッと復元してみてください。つぎに端末を初期化してから「iCloudバックアップから復元」を選ぶと、まるごと元の状態に戻せます。
大切なのはこまめなバックアップです。万が一のときもこの記事を手順どおりに進めれば安心ですから、ぜひ定期的にiCloudバックアップを実行してみてくださいね。
これでデータの復元もバッチリです。あとは安心してMacやiOSを楽しんでください!